日本の新幹線技術移転をベースとして、独自の拡張を続ける中国の高速鉄道ですが、
大規模な解決不可能な程の赤字を抱えています。
規模は異なるものの、日本の国鉄が民営化するまでの赤字体質からの脱皮戦略の経緯を思い起こすものです。

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中国の高速鉄道は、2008年の北京オリンピックを契機に建設が急速に進められ、現在では総延長が4万kmを超え、世界最長の高速鉄道網を構築しています。
しかし、その一方で、多くの路線が赤字体質であることが指摘されています。
中国国家鉄路集団(国鉄集団)の2022年1~6月期決算によると、高速鉄道の旅客輸送収入は前年同期比10.8%減の423億元(約9640億円)、営業損益は前年同期比12.6%減の144億元(約3280億円)の赤字となりました。
中国の高速鉄道が赤字体質である主な原因としては、以下の点が挙げられます。
- 建設コストの高騰:中国の高速鉄道は、日本の新幹線よりも建設コストが高くなっています。
- これは、中国の鉄道技術が日本に比べて遅れていることや、政治的な要因によるコスト増などが原因です。
- 利用者の減少:中国の高速鉄道は、2012年以降、利用者の減少が続いています。
- これは、中国経済の減速や、新型コロナウイルス感染症の影響などが原因です。
- 運賃の低さ:中国の高速鉄道の運賃は、日本の新幹線と比べて低く設定されています。
- これは、政府による運賃の補助が大きく影響しています。
中国政府は、高速鉄道の赤字体質を改善するために、以下の対策を講じています。
- 運賃の値上げ:2023年7月から、中国の高速鉄道の運賃を平均10%値上げしました。
- 利用者の拡大:中国政府は、高速鉄道の利用者の拡大に向けて、観光やビジネスなどの需要を喚起するための取り組みを進めています。
- 路線の再編:中国政府は、利用者の少ない路線の廃止や、路線の再編を検討しています。
これらの対策が奏功すれば、中国の高速鉄道の赤字体質は改善される可能性があります。
しかし、
中国経済の減速や、新型コロナウイルス感染症の影響など、中国の高速鉄道が直面する課題は依然として大きいと言えます。
海外に輸出することで、赤字の補填を考えていたのでしょうが必ずしも成功していません。
海外輸出に関しては、多くの場面で日本の新幹線技術輸出と競合する場面が多くあります。
日本は、日本の安全重視の思想と採算性の適正な評価を重視していく必要があります。
日本にとっても、中国の高速鉄道の赤字体質は重要な外交課題です。
今後の動向を注視していく必要があります。