サルコペニアについてお話ししましょうか。??

サルコペニアとは、加齢によって筋肉量が減少し、筋力が低下する状態のことを言います12。
サルコペニアは疾患として認められており、2016年に国際疾患分類に登録されました2。
サルコペニアになると、歩行速度が遅くなったり、日常生活の動作が困難になったりします12。
また、転倒や骨折のリスクが高まったり、糖尿病や肺炎などの病気にかかりやすくなったりします1。
サルコペニアの診断は、筋肉量・歩行速度・握力を測定して行います12。
2014年には、アジア人のための診断基準が作られました1。
サルコペニアは65歳以上の高齢者に多く見られますが、若い人でもデスクワークや運動不足などで筋肉が減っている場合があります1。
このような人は「サルコペニア予備群」と呼ばれ、注意が必要です1。
サルコペニアの予防や改善には、適度な運動とたんぱく質の摂取が効果的です13。
特に、筋肉を動かした後に分枝鎖アミノ酸(BCAA)を含むたんぱく質を摂ると、筋肉の合成が促進されます3。
サルコペニアに関する詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧ください。
NHK健康チャンネル「【徹底解説】急激に筋肉が落ちる病気「サルコペニア」とは? 若い人でも要注意」(参照番号:1)
健康長寿ネット「サルコペニアとは」(参照番号:2)
メディカルノート「サルコペニアとは?――その原因、診断、適切なケアと治療のポイント」(参照番号:3)
サルコペニアの診断基準は、筋力、身体機能、骨格筋量の3つの指標によって判定します12。
筋力は、握力計を使って握力を測定します。
男性は28kg未満、女性は18kg未満の場合に筋力低下と判断されます12。
身体機能は、歩行速度、5回椅子立ち上がりテスト、Short Physical Performance Battery(SPPB)のいずれかで評価します。
歩行速度は1.0m/sec未満、5回椅子立ち上がりテストは12秒以上、SPPBは9点以下の場合に身体機能低下と判断されます12。
骨格筋量は、二重エネルギーX線吸収法(DXA)や生体電気インピーダンス法(BIA)などで測定します。
測定した両腕両脚の筋肉量を身長(m2)で補正した値を骨格筋指数(SMI)と呼びます。
SMIが男性で7.0kg/m2未満、女性で5.4kg/m2(DXA法)または5.7kg/m2(BIA法)未満の場合に骨格筋量低下と判断されます12。
サルコペニアの診断には、骨格筋量低下が必須条件となります。
さらに、筋力と身体機能のいずれかが低下している場合にサルコペニア、両方とも低下している場合に重症サルコペニアと判定されます12。
サルコペニアの診断を受けるには、まずかかりつけの医師に相談することが大切です。
医師は、下腿周囲長、握力、5回椅子立ち上がりテストなどの簡易的な検査を行って、サルコペニアの可能性を判断します12。
もしサルコペニアの可能性があると判定された場合は、さらに骨格筋量を測定する検査を受ける必要があります314。
骨格筋量を測定する検査には、二重エネルギーX線吸収法(DXA)や生体電気インピーダンス法(BIA)などがありますが、これらの検査は設備が整った機関でしか受けることができません314。
そのため、医師は必要に応じて専門機関へ紹介することもあります1
サルコペニアの診断基準は、様々な研究や臨床経験をもとに、国際的なワーキンググループが策定しています。
現在、日本ではアジアにおけるサルコペニアワーキンググループ(AWGS)が2019年に報告した診断基準(AWGS2019)が推奨されています12。
この診断基準は、筋力、身体機能、骨格筋量の3つの指標を用いてサルコペニアを判定します12。
具体的には、以下のような流れで診断が進められます12。
下腿周囲長やSARC-F質問紙などでサルコペニアの可能性をスクリーニングする。
握力や5回椅子立ち上がりテストなどで筋力低下の有無を判定する。
歩行速度やSPPB(Short Physical Performance Battery)などで身体機能低下の有無を判定する。
二重エネルギーX線吸収法(DXA)や生体電気インピーダンス法(BIA)などで骨格筋量減少の有無を判定する。
この診断基準は、AWGSが2014年に報告した診断基準(AWGS2014)の改訂版であり、基準値の見直しや診断の流れの変更がなされています12。
また、AWGS以外にもヨーロッパにおけるサルコペニアワーキンググループ(EWGSOP)が2010年と2018年にそれぞれ診断基準を報告しており34、これらも参考にされることがあります。
しかし、これらの診断基準は地域や人種によって異なることがあるため、日本ではAWGS2019が適していると考えられます12。