ホログラムとは、映像が立体的に記録・再生された媒体のことを指します1。

ホログラムを作る技術をホログラフィと呼びます2。
ホログラフィの原理は、物体から反射した光(物体光)とレーザー光(参照光)を干渉させて、干渉縞という細かい模様を感光媒体に記録することです345。
干渉縞には、物体光の色、強さ、位相(光がやってくる方向)の情報がすべて含まれています1。
ホログラムを再生するときは、参照光と同じレーザー光を感光媒体に照射します。
すると、干渉縞から物体光が再現されて、立体的な映像が見えるようになります345。
ホログラムの特徴は、見る角度によって映像が変化したり、映像の一部だけを切り取っても全体が見えたりすることです1。
また、ホログラムは通常の映像よりも高解像度で鮮明に見えます2。
ホログラムは、ARやVRなどの分野で活用されています。
例えば、ホログラムを利用したレンズを使うことで、現実の情報に立体的な情報を加えることができます1。
また、網膜ディスプレイという技術では、CGで作った映像を人間の網膜に直接結像させることで、ホログラム的な映像表現を実現しています2。
ホログラムの歴史について
ホログラムは、1947年にハンガリーの物理学者 ガーボル・デーネシュ によって発明されました1。彼は電子顕微鏡を改良する研究中に、物体から反射した光とレーザー光の干渉によって干渉縞を感光媒体に記録する方法を考案しました2。
彼はこの発明により1971年に ノーベル物理学賞 を受賞しました1。
しかし、当時はレーザーが発明されておらず、不便な不コヒーレント光源を使っていたため、ホログラムの研究はあまり進みませんでした2。
1960年にレーザーが発明されると、ホログラムの品質が飛躍的に向上し、様々な種類のホログラムが開発されました2。
最初のホログラムは 透過型ホログラム と呼ばれ、裏側からレーザー光を照射しないと観察できないものでした2。
その後、表側から白色光を当てて観察できる レインボーホログラム や 白色光反射型ホログラム が作られるようになりました2。
レインボーホログラムは金属めっきの反射を利用し、虹色の縞模様となります2。
白色光反射型ホログラムは回折格子の構造色によって反射し、フルカラーの3次元像が見えます2。
ホログラムは、偽造防止や芸術作品などの分野で応用されています2。
また、ARやVRなどの分野でも活用されています2。
近年では、半導体レーザーやデジタルホログラフィーなどの技術の進歩により、小型で安価な機器でもホログラムを作ることが可能になってきています2。
ガーボル・デーネシュとは、ハンガリー系イギリス人の電気工学者・物理学者で、ホログラフィーの発明者です1。
1900年にオーストリア=ハンガリー帝国のブダペストでユダヤ人の家庭に生まれました1。
ブダペスト工科大学とベルリン工科大学で学び、電子光学に興味を持ちました1。
1933年にナチス・ドイツから逃れてイギリスに移住し、ブリティッシュ・トムソン・ヒューストン社やインペリアル・カレッジ・ロンドンで研究を続けました1。
1947年に電子顕微鏡の解像度を向上させるために、物体から反射した光とレーザー光の干渉によって干渉縞を感光媒体に記録する方法を発明しました1。
これがホログラフィーの原理です。
しかし、当時はレーザーが発明されておらず、不便な不コヒーレント光源を使っていたため、ホログラムの研究はあまり進みませんでした1。
1960年にレーザーが発明されると、ホログラムの品質が飛躍的に向上し、様々な応用が可能になりました1。
ガーボルはこの発明により1971年にノーベル物理学賞を受賞しました1。
また、グラニュラーシンセシスや時間周波数解析などの分野でも貢献しました2。
1979年にロンドンで亡くなりました1。